
7 QUESTIONS
Teruel
ウィンター黒トリュフ、世界一の生産量を誇る「スペイン・テルエル」
INTERVIEW
トリュフと聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべる代表格といえば、冬に旬を迎える黒トリュフ(学名:Tuber melanosporum)でしょう。古くからフランスのペリゴール地方やイタリアのノルチャが名産地として知られ、「ペリゴールトリュフ」や、イタリア語で“上質な黒”を意味する「ネーロ・プレジャート」の名で呼ばれ、日本でも高級レストランで親しまれてきました。
しかし実は、現在この高級黒トリュフの多くは、フランスやイタリアではなくスペインで生産されています。中でも、特に高い生産量を誇るのが、スペイン東部の小さな町テルエルです。
今回は、このテルエルでトリュフの生産と販売を行うTrufas Górrizの代表、ハイメ・ゴリス氏に、あまり知られていないテルエル産トリュフの魅力についてお話を伺いました。
Where?
テルエル Teruel:
スペイン・アラゴン州にある小さな町で山がちな地域。人口は3万5000人ほどと少ないが、トリュフのほかに名産品である生ハム「ハモン・デ・テルエル」は白豚から作られるスペイン産生ハムで唯一、EUから原産地呼称制度(D.O.P.)に認定されている。
01
生産しているトリュフやその背景について教えてください
私たちは、ウィンター黒トリュフとして知られるTuber melanosporumを専門に取り扱っています。生産量は年によって異なり、降雨量や畑に供給する水の量に左右され、シーズンごとにおよそ30kgから200kgの間で変動します。
スペイン、特にテルエル地方では、黒トリュフのシーズンはフランスやイタリアよりも早く始まる傾向があり、気候条件にもよりますが、例年11月下旬から12月上旬にかけてスタートします。
私たちの歩みは1960年代に祖父から始まりました。彼は人里離れた場所でトリュフを探し出し、ごく限られた愛好家たちにひっそりと販売していたのです。当時、この地域のトリュフの多くはフランスへと出荷されていました。
現在、私は3代目として事業を引き継いでいます。父の後を継ぎ、私は顧客への直接販売と海外輸出により力を入れた会社を築きました。注目すべき点として、ヨーロッパのTuber melanosporum生産量の80%以上が実はテルエル産であるにもかかわらず、その多くが現在でもフランスやイタリアのラベルで販売されているという事実があります。
トリュフ栽培で最も難しい点は何ですか?
02
トリュフの栽培において最も重要な要素は以下のとおりです:
質の高い菌根菌接種済みの苗木を選ぶこと
適した水はけの良い土壌を選定すること
最適な湿度を保つこと
成長初期の数年間に細やかな管理を行うこと
トリュフ栽培には忍耐と精密な管理が求められます。特に最初の5〜10年は、苗木が成長し、地下でトリュフの菌根菌と根が共生する関係を築いていく大切な時期となります。
テルエル産トリュフの特徴について教えてください
03
テルエル産のトリュフは、力強い香り、奥深い風味、そして完璧な熟成で高く評価されています。
これは、標高の高い地域に特有の寒冷な冬と穏やかな夏というテルエル独自の微気候のおかげです。
こうした気候条件が、トリュフが持つ芳醇な香りの複雑さと料理としての高い価値を最大限に引き出す、理想的な環境を生み出しているのです。
好きなトリュフの食べ方を教えてください
04
私たちのお気に入りのトリュフの楽しみ方は、最もシンプルで伝統的な方法です。
トリュフを薄くスライスし、エクストラバージンオリーブオイルと海塩と混ぜて数時間寝かせ、風味がしっかりなじんだら、そのままいただきます。ピュアで香り高い味わいが魅力です。
スペインでよく知られているもう一つの名物が、トリュフ卵(truffled egg)です。
殻付きの新鮮な卵を、トリュフと一緒に密閉容器に数日間入れておくと、卵がトリュフの香りを吸収します。その卵を目玉焼きやポーチドエッグにして調理すると、まさに絶品です。このトリュフ卵は、パスタやきのこリゾットとの相性も抜群、素晴らしい一品になります。
トリュフ卵の作り方(黒トリュフ)*trufas gorrizブログ記事参照
卵1ダース(12個)に対して黒トリュフを最低40g(できれば2個)用意します。
生の黒トリュフと卵を一緒に密閉容器に入れ、冷蔵庫で48〜72時間保存します。
この間に、卵が黒トリュフ特有の香りを吸収します。
トリュフ卵が完成したら、トリュフは再利用することも、他の料理に使うことも可能です。
トリュフ香を移した卵は、3日以内に使用するのがおすすめです。
テルエル産トリュフにおすすめのスペインワインは?
05
ワインのペアリングには、スペインらしいセレクションとして:
熟成されたリオハやリベラ・デル・ドゥエロ
樽熟成のゴデーリョやアルバリーニョ
ユニークな味わいのドライシェリー(アモンティリャード)
などがおすすめです。トリュフとワインのマリアージュで、スペインならではの美食体験をお楽しみいただけます。
06
トリュフを提供する際に、最も重視していることは何ですか?
私たちは、トリュフの品質において「食感」「香り」「形」という3つの要素を最も重視しています。
すべてのトリュフは一つひとつ手作業で丁寧に検品され、当社の基準を満たしていることを確認しています。
この手選別によって、私たちが提供するトリュフはすべて、芳醇な香りを持ち、完熟し、美しい外観を備えた最高品質であることが保証されます。
今後のビジョンや日本の消費者に向けてメッセージをお願いします。
07
近年、トリュフ市場には、品質の低い製品や専門知識のない生産者によるものが溢れつつあります。
しかし、私たちはそうではありません。強引な営業や過剰なアピールをするつもりは一切ありません。
私たちの唯一の目的は、知識と情熱を共有することです。この仕事は、私の血の中に流れているものです。
1960年に祖父が始め、父へ、そして今、私へと受け継がれています。
木を植え、犬を訓練し、10年以上もの長い時間をかけて、ようやくトリュフを収穫する…。
これは単なるビジネスではなく、私たちの生き方そのものです。
私はすべてのお客様――特に日本のシェフや食の愛好家の方々に、このプロセスの一つひとつを丁寧に伝え、理解し、信頼していただけるよう、心を込めてサポートしたいと考えています。
そして願わくば、私がトリュフ狩りを愛するのと同じように、皆さんにもトリュフを心から楽しんでいただきたいと思っています。もし、ただのトリュフサプライヤーではなく、トリュフと共に生きている人間をお探しであれば、ぜひご一緒できることを光栄に思います。
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